黒部横断2021 ”18日間 隔離生活の顛末”
Day13
20数年前だったかと思うが、年末年始に白竜峡から黒部別山を越えて八ツ峰を目指したことがあった。この年末は記憶にないくらい(いろんな記憶が曖昧になっている年頃なので)の寡雪で、白竜峡を覗きこんで唖然とした。ある程度覚悟はしていたものの、デブリで覆われているはずの谷底は黒部川が水飛沫をあげながら流れていた。仕方なく登ってきた尾根を登り返し、赤沢山北西尾根を下ってハシゴ谷乗越経由で八ツ峰に取り付いた。労力的に扇沢へ戻るよりも楽なこともあっただろうが、「横断」に価値を見出していた若造だった。まだ、黒部トンネルは登山者が歩いて通行できていた時代の話ではあるが、黒部ダムを眺めながら横断しても価値はない。
暫く、好天が続いていたこともありハシゴ谷乗越から見上げるⅠ峰東面は黒々としていた。我々は躊躇なく四ノ沢を詰めた。Day13の幕営地まで出合から僅か数時間で登り詰めていたに違いない。今回は二股から丸1日以上を要したが、稜を忠実にトレース出来ていることが嬉しかった。