イワタニプリムスさんのサイトで、登山に対する考えを掲載していただいております。
https://www.iwatani-primus.co.jp/products/lowa/blog/002/
長期冬山縦走とクライミングを好む。 リングネームは「ラッセルうえだ」
Day18
約束された朝を迎える。これ以上ない登頂&下山日となるはずだ。
身体が消耗しているためか日に日に寒さに弱くなり、変温動物のように日射を浴びて体温を上げてからでないと動き出せない。安全圏までは射程圏内なので、のんびりと準備をして最後の朝を堪能してから出発。
本峰到着、いつも変わらない頂上が迎えてくれる。
山頂からの風景もいつもと代り映えはしないし、感慨深いものでもない。これから下降する早月尾根のことを考えると、落ち着いて登頂を楽しむ余裕はない。されど、ヒマラヤの未踏峰初登頂張りに3人で記念撮影を行い、歓喜している体を装う。
とはいえ、視界良好の早月尾根の下降は難しくない。所々、ズブズブの深いラッセルと東大谷から吹き上げる地吹雪に苦しめられながらも順調に高度を落とす。高度の変化に伴う、周りの景色を楽しみながら、馬場島到着。
「試練と憧れ」の碑は雪に埋もれていた。
本峰では味わうことが出来なかった喜びを噛みしめながら、夜は更けていった。
18日間を共にした馬2頭、暖かく?送り出してくれる家族、我々を見守ってくれた関係者の皆さんに深く感謝申し上げ、黒部横断2022の御報告とさせていただきます。
本編は、某山岳雑誌において御報告させていただく予定になっておりますので、御期待ください。
今回の教訓:じゃんけんは心理戦である!
Day17
昨日の午前中の行動は勇み足かと思われたが、結果オーライ。
2日前の予報だと、今日こそは約束された一日になるはずだった・・・
夜半から強くなり始めた風雪にテントの周囲が埋められて、ほんのりと暖かい。
予定時刻に声をあげるが、予定通り動ける状況にはないのでふて寝を決める。明るくなったテント内は入り口やベンチレーターから雪が吹き込んで、真っ白け。
誰ということもなく、これ以上寝ていられなくなり、もぞもぞと這い出して朝食を摂る。されど、視界なく風も収まらない。再び、シュラフに潜り込み二度寝。
若干、風も収まり天候の回復が見込まれてきたので昼過ぎから行動開始。
前剱を越えて、馬場島射程圏内で幕
Day16
時折、日差しがあるので我慢して登るが、とにかく手足の指先が冷たい。
内蔵助小屋に到着すると、青空が広がり雲海
皆、口には出さなかったものの「戻ったほうが良いのでない」と思っていたらしい。
室堂平の人工物が手招きしているが、誘惑を断ち切り消化試合のような稜線に歩みだす。
Day12~15 Stay
予定通り4日間の停滞
午前中、時折日射しが差し込むが午後からは降雪激しい。
やることないので、若干の雪洞手直しを行って本日のお仕事終了。
Day13
いつまでたっても雪洞内が真っ暗。
完全に入り口が埋没してるパターンですね。
特攻隊長の暴れ馬が入り口確保。
天井が下がってきてるので雪洞再構築
Day14
朝、雪洞内は明るい。入り口、埋まってないみたい。
Day15
ラジオでは明日から移動性の高気圧が張り出し、今季一番の寒気も抜けていくそうなので途中までトレースをつけに出かける。
Day11
八ツ峰Ⅱ稜を予定していたが、この雪と今後の予報・残り日数を鑑みて真砂尾根に変更する。
本日、明日はある程度動けそうな天気だが、その後のことを考えると高度を上げず、雪洞籠城作戦。
Day10
案の定、夜中に暴れ馬が、もぞもぞと除雪の準備を始めた。
周りが埋まり始めテントの高さまで積もってるようだ。一頭では、どうにもならない感じなので二頭体制で除雪を行う。良く働く、お馬さん達である。
明るくなるまでに再度の除雪も覚悟していたが、シュラフに潜り込むと暴風が吹き荒れるようになる。テントのポールが折れたり、生地が破れたりしないかと心配だが、どうしようもないので祈るのみ。お祈りの効果か7時ころに風が弱まってきた。
次第に、風が収まってきたので朝食。
外の様子を見てみると、暴風でテントの周りの雪はすっかりなくなっている。深夜の除雪はなんだったんだ・・・
なんだかんだしてると、日差しも差してきた。
軽い雪は吹き飛ばされたが、代わりに密度の高いズブズブの泥沼のような雪に変わっていた。ロープを繋げ、ばん馬が北峰まで空身でラッセル。さすが「ばん馬」です。
どんどん、天候は回復し山々が視界に入ってくる。
ハシゴ谷乗越への分岐に再び絶景ホテル誕生。
これだから山は止められない。
Day9
夜中に暴れ馬が除雪に出動
頭に雪が吹き溜まってたらしい。テントの様子から50cmは積もっている感じ。
風は弱いがしんしんと降っている。警戒しなければならないヤツだ。
明るくなっても視界なく、怖くて歩けないので予定通り停滞。
本日もトランプ大会、まだフレッシュな状態なので楽しめる。
行動食を賭けると雰囲気が悪くなるので、寝る場所を賭けることにしたが、最終決戦で反則行為がありやり直し。後味の悪いドーピング疑惑の様となった。
就寝前に除雪を行うが、結構な高さまで積もり始めた。
夜中、もつかな?
Day8
昨夜は思いのほか静かではあったが、ときおり雪崩の音が響いていた。
7時に起床して外の様子を伺い出発準備。
2p目で視界を失い、雪崩そうな斜面と胸までのラッセルにビビッて元のテンバに戻って停滞とする。
明日の停滞も見越して、完璧なテント設営を行う。
昨夜はフカフカ雪の上にテントを張ったので中央が沈んで就寝中は3人が団子状態に。暖かくて良いのだが・・・
停滞のお楽しみは、食べることとトランプ
ばん馬が担いできた剱岳トランプで大貧民大会。
Day7
昨日の残業明けではあるが、早出出勤。連日行動で疲れも出始めてきた。
難しくはないが、荷を担いだままでは歩けないので、思いのほか時間がかかる。
予報通り、昼過ぎから天候が悪化し降雪が激しくなる。トサカ尾根の尾根状地形が終わり1930mのコルに岩屋を確認したが、ベースが安定していないので却下。何より、ここで泊まってしまうと、北峰への急斜面は今後の降雪で雪崩のオンパレードとなるのは間違いない。降雪が少ない今のうちに登り切っておきたい。
降雪は時間の経過と共に激しくなり、踏み込む斜面では雪崩を誘発しまくるが登り切るしか選択肢がない。空身で登ったトレースは雪崩に洗われて、二人目が登るときにトレースは完全に失われ続けた。どうにもならないが、どうしようもない。
視界の中に平坦地はなく、日没が迫り始める。斜面を切ってテンバとする選択肢もない。
ロープを繋いでいても雪崩の餌食になれば、只事では済まない量の積雪量になってきた。
案の定、荷上げをしていたばん馬は直撃をくらい、ヤバかったらしい。
何とか、暗くなりきる前に平坦地に辿り着き、安心して眠れる場所を確保した。
十字峡での暴言が剱の神様の怒りを買ったようだが、なんとか試練の範囲で収めていただいたようだ。我々は、まだ見放されてはいないらしい。
Day6
昨夜からの降雪は10cm程度。昨日のFixを登り返していると雪崩を誘発した。
テンバ、やばかったな・・・
順調にロープは伸びていくが、時計の針もぐるぐる回ってる。思っている以上に進んでいないことは明らかだ。
垂直のブッシュ壁と表現されていた核心部を越えれば傾斜は落ちるが、いつになっても稜線は近づかない。延々とロープを伸ばし続け、日暮れ前に何とか稜線に抜け、極上の幕営地を確保した。
そろそろ、記憶も怪しくなってきた。まだ6日目か・・・