Day5
剱沢に入渓する朝
入山以来、ほとんど降雪もなく本日も安定の低気温。心配なのは、ずっと低温が続いていること。剱沢に降り立てば、逃げる場所はないだろう。
朝まで入渓出来ない理由をあれこれと思い浮かべてみるが、杞憂に終わった。おなかの調子も良いので腹を据えるしかないだろう。
昨年、ガンドウ尾根を登ったとき、「この谷に入る人は〇〇〇の回路がぶっ飛んでる」と言い放った言葉は自分自身に降りかかってきた。
トサカ尾根の初登攀は1993年。剱沢大滝の初登攀が1978年だから15年もの歳月が過ぎていた。
この空白期間が何を意味するのか?
その後、私が知る限りこの尾根を登ったのは3隊のみ。
入山前、記録の行間を読み取ることで胃が痛くなる日々を、アルコールで誤魔化していた。
谷はデブリで覆いつくされ、「ここを登れ」とトサカ尾根が手招きしている。確かに、この谷の中で人類が登ろうと思うのは、まずトサカ尾根だろう。
地形図に表された等高線は正確だった。ところどころに大木が生えており良い目印となる。次第に傾斜は大きくなり、これ以上進んではテントを張ることが難しくなるので斜面を削って幕営地とした。
十字峡の吊り橋
十字峡
剱沢からトサカ尾根
トサカ尾根取りつき
登攀中
ガンドウ尾根からのトサカ尾根