Day3
深夜、おなかの中で運動会が始まる・・・
こればっかりは、Pボトル使えね~
昨夕、きっちりとキジ場とアプローチを構築していたのが功を奏する。
さて、鹿島越えの朝を迎える。
森林限界を越えたエリアでの行動時間が長くなるので、おなかの気合を入れ直す。小屋周辺はガスに覆われているが、幸い天気は好天に向かいそうだ。
樹林帯はずぼずぼで空身ラッセル
登るに従い上空からガスが切れ始め、雲海に。目指すべき剱岳は見え隠れしてきたものの、風は強く指先が凍えてくる。頂は彼方に聳え、分かってはいるものの小ピークを越えるたびに愕然とし、ピーク立たないで巻いてやろうかとあらぬ考えが頭の中を渦巻く。
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初めての黒部横断は1996年3月に遡る。
鹿島槍・東尾根を登り、十字峡~黒部別山・北尾根~源次郎尾根へと継続した。パートナーはK氏。以降、何度も横断山行を共にしたが、やはり初めての横断は印象深い。
当時は山中に食料や燃料などをデポするのが当たり前の時代。我々も疑いなくデポを行った。強風とホワイトアウトの中、這う這うの体で辿り着いた鹿島槍山頂。括り付けておいたデポを回収し牛首尾根を下るが、地形図とコンパスがあれば下降出来るというものでもない。視界が全く得られない状況で、これ以上歩くのは危険と判断して適当なところに雪洞を掘ることにした。堀り始めは順調だったものの、奥に進むにつれ氷板が現れ掘削は困難を極める。テントを張る選択肢はなく、根性で雪洞を完成させた。
このK氏、昨今は眼鏡が凍っても真眼でルートを見いだせるようになったらしい。
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「この辺だったかなぁ」と思いを巡らせながら、下降に移る。次第にガスに覆われ視界を失う。しかし、現代社会にはスマホがある。かといって、雪庇の張り出した尾根を歩くにあたって安全が担保される訳ではない。ロープを繋ぎ見えないやっかいものと対峙する。案の定、牛首山の手前で枝尾根に騙され引き込まれてしまう。これはすぐに気付いてばん馬を軌道修正。
高度を下げるにつれ視界は回復し、日射に晒され思わず「暑い!」と声が漏れる。ただ、暑いって思ったのは今山行中このときだけだったかもしれない。
順調に高度を落として、「ホテルビュー剱岳」建設