Day18
約束された朝を迎える。これ以上ない登頂&下山日となるはずだ。
身体が消耗しているためか日に日に寒さに弱くなり、変温動物のように日射を浴びて体温を上げてからでないと動き出せない。安全圏までは射程圏内なので、のんびりと準備をして最後の朝を堪能してから出発。
本峰到着、いつも変わらない頂上が迎えてくれる。
山頂からの風景もいつもと代り映えはしないし、感慨深いものでもない。これから下降する早月尾根のことを考えると、落ち着いて登頂を楽しむ余裕はない。されど、ヒマラヤの未踏峰初登頂張りに3人で記念撮影を行い、歓喜している体を装う。
とはいえ、視界良好の早月尾根の下降は難しくない。所々、ズブズブの深いラッセルと東大谷から吹き上げる地吹雪に苦しめられながらも順調に高度を落とす。高度の変化に伴う、周りの景色を楽しみながら、馬場島到着。
「試練と憧れ」の碑は雪に埋もれていた。
本峰では味わうことが出来なかった喜びを噛みしめながら、夜は更けていった。
18日間を共にした馬2頭、暖かく?送り出してくれる家族、我々を見守ってくれた関係者の皆さんに深く感謝申し上げ、黒部横断2022の御報告とさせていただきます。
本編は、某山岳雑誌において御報告させていただく予定になっておりますので、御期待ください。
今回の教訓:じゃんけんは心理戦である!
朝焼けの鹿島槍
平蔵のコル
ヨコバイ
ヨコバイ
獅子頭
早月尾根を下降