2022年3月13日日曜日

黒部横断2022 Day10

 Day10

案の定、夜中に暴れ馬が、もぞもぞと除雪の準備を始めた。

周りが埋まり始めテントの高さまで積もってるようだ。一頭では、どうにもならない感じなので二頭体制で除雪を行う。良く働く、お馬さん達である。

明るくなるまでに再度の除雪も覚悟していたが、シュラフに潜り込むと暴風が吹き荒れるようになる。テントのポールが折れたり、生地が破れたりしないかと心配だが、どうしようもないので祈るのみ。お祈りの効果か7時ころに風が弱まってきた。

 

次第に、風が収まってきたので朝食。

外の様子を見てみると、暴風でテントの周りの雪はすっかりなくなっている。深夜の除雪はなんだったんだ・・・

なんだかんだしてると、日差しも差してきた。

 

軽い雪は吹き飛ばされたが、代わりに密度の高いズブズブの泥沼のような雪に変わっていた。ロープを繋げ、ばん馬が北峰まで空身でラッセル。さすが「ばん馬」です。

 

どんどん、天候は回復し山々が視界に入ってくる。

ハシゴ谷乗越への分岐に再び絶景ホテル誕生。

これだから山は止められない。








2022年3月11日金曜日

黒部横断2022 Day9

 Day9

夜中に暴れ馬が除雪に出動

頭に雪が吹き溜まってたらしい。テントの様子から50cmは積もっている感じ。

風は弱いがしんしんと降っている。警戒しなければならないヤツだ。

明るくなっても視界なく、怖くて歩けないので予定通り停滞。

 

本日もトランプ大会、まだフレッシュな状態なので楽しめる。

行動食を賭けると雰囲気が悪くなるので、寝る場所を賭けることにしたが、最終決戦で反則行為がありやり直し。後味の悪いドーピング疑惑の様となった。

 

就寝前に除雪を行うが、結構な高さまで積もり始めた。

夜中、もつかな?



2022年3月10日木曜日

黒部横断2022 Day8

 Day8

昨夜は思いのほか静かではあったが、ときおり雪崩の音が響いていた。

7時に起床して外の様子を伺い出発準備。

2p目で視界を失い、雪崩そうな斜面と胸までのラッセルにビビッて元のテンバに戻って停滞とする。

明日の停滞も見越して、完璧なテント設営を行う。

昨夜はフカフカ雪の上にテントを張ったので中央が沈んで就寝中は3人が団子状態に。暖かくて良いのだが・・・


停滞のお楽しみは、食べることとトランプ

ばん馬が担いできた剱岳トランプで大貧民大会。

新兵器

凍ったばん馬のえさ


うなだれる暴れ馬

振り出しに戻る

剱岳トランプ

晩ごはん カレーがかかるよ


2022年3月9日水曜日

黒部横断2022 Day7

 Day7

昨日の残業明けではあるが、早出出勤。連日行動で疲れも出始めてきた。

難しくはないが、荷を担いだままでは歩けないので、思いのほか時間がかかる。

予報通り、昼過ぎから天候が悪化し降雪が激しくなる。トサカ尾根の尾根状地形が終わり1930mのコルに岩屋を確認したが、ベースが安定していないので却下。何より、ここで泊まってしまうと、北峰への急斜面は今後の降雪で雪崩のオンパレードとなるのは間違いない。降雪が少ない今のうちに登り切っておきたい。

降雪は時間の経過と共に激しくなり、踏み込む斜面では雪崩を誘発しまくるが登り切るしか選択肢がない。空身で登ったトレースは雪崩に洗われて、二人目が登るときにトレースは完全に失われ続けた。どうにもならないが、どうしようもない。

視界の中に平坦地はなく、日没が迫り始める。斜面を切ってテンバとする選択肢もない。

ロープを繋いでいても雪崩の餌食になれば、只事では済まない量の積雪量になってきた。

案の定、荷上げをしていたばん馬は直撃をくらい、ヤバかったらしい。

何とか、暗くなりきる前に平坦地に辿り着き、安心して眠れる場所を確保した。

 

十字峡での暴言が剱の神様の怒りを買ったようだが、なんとか試練の範囲で収めていただいたようだ。我々は、まだ見放されてはいないらしい。


本日も早出





戻ってくると雪崩で埋まってる


2022年3月8日火曜日

黒部横断2022 Day6

 Day

昨夜からの降雪は10cm程度。昨日のFixを登り返していると雪崩を誘発した。

テンバ、やばかったな・・・

順調にロープは伸びていくが、時計の針もぐるぐる回ってる。思っている以上に進んでいないことは明らかだ。

垂直のブッシュ壁と表現されていた核心部を越えれば傾斜は落ちるが、いつになっても稜線は近づかない。延々とロープを伸ばし続け、日暮れ前に何とか稜線に抜け、極上の幕営地を確保した。

 

そろそろ、記憶も怪しくなってきた。まだ6日目か・・・










夕暮れの五龍岳


2022年3月7日月曜日

黒部横断2022 Day5

 Day5

剱沢に入渓する朝

入山以来、ほとんど降雪もなく本日も安定の低気温。心配なのは、ずっと低温が続いていること。剱沢に降り立てば、逃げる場所はないだろう。

朝まで入渓出来ない理由をあれこれと思い浮かべてみるが、杞憂に終わった。おなかの調子も良いので腹を据えるしかないだろう。


昨年、ガンドウ尾根を登ったとき、「この谷に入る人は〇〇〇の回路がぶっ飛んでる」と言い放った言葉は自分自身に降りかかってきた。

トサカ尾根の初登攀は1993年。剱沢大滝の初登攀が1978年だから15年もの歳月が過ぎていた。

この空白期間が何を意味するのか?

その後、私が知る限りこの尾根を登ったのは3隊のみ。

入山前、記録の行間を読み取ることで胃が痛くなる日々を、アルコールで誤魔化していた。


谷はデブリで覆いつくされ、「ここを登れ」とトサカ尾根が手招きしている。確かに、この谷の中で人類が登ろうと思うのは、まずトサカ尾根だろう。


地形図に表された等高線は正確だった。ところどころに大木が生えており良い目印となる。次第に傾斜は大きくなり、これ以上進んではテントを張ることが難しくなるので斜面を削って幕営地とした。

十字峡の吊り橋

十字峡

剱沢からトサカ尾根

トサカ尾根取りつき

登攀中



ガンドウ尾根からのトサカ尾根


2022年3月6日日曜日

黒部横断2022 ”26年の時を超えて” Day4

 Day4

「新しい朝が来た 希望の朝だ」各々の思惑を乗せた馬車が動きだす。

2月の夜明けは早く、フライング気味に歩みを踏み出す馬2頭

 

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とある放送局からビデオカメラを渡されていた。

というか、こちらから持ち掛けたものだったが、記録映像は局内のどこかに眠っているだろうか? 撮影の素人が未知の世界に飛び込む訳だから、まともな映像が撮れてる訳もない。

十字峡への着地は慎重を期し、余裕を持って昼過ぎに行動を終えて明日に備える。

 

原始の山「黒部」とは裏腹に幕営地からは、煌々と灯る関電宿舎の灯りが闇を裂く。

「秘境黒部」は思い入れのある人達によって作り上げられた幻想だった。

かつて過ごした日高の山々、彼方に十勝平野の街明かりは見えるものの、はるかに原始の姿を残していた。秘境黒部に幻滅した瞬間だった。

 

されど、厳しさが落ちぶれる訳もなく、懸垂を交えながら川床へと下降を続ける。十字峡の下流にスノーブリッジが見え隠れする。昔の記録では十字峡に電源開発当時のワイヤーのチロリアンがあり、それを利用していたという(記憶違いか?)

他人の記録は当てに出来ない、目の前の事実と己の力量が信じる全て。

 

十字峡の岩屋を探すが見当たらず、明日の雨に備えて半雪洞にテントを張る。

 

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視界・天気とも良好、これ以上の好条件はない。

無事に対岸へと渡り、昨年同様ガンドウ尾根末端のオアシス台地で眠れない夜を過ごした。


朝焼けの剱岳

思いを馳せる

黒部の核心部へ

着地

十字峡下流

荷渡し

肉は豊富